NPO法人 富山湾を愛する会



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富山湾の海の豊かさを守るために藻場の造成、水辺の環境保全、海洋教育等に関わる公益的な活動を行うNPO法人「富山湾を愛する会」。

事務局の滝本さん、活動の中心となっている石森さんに、団体の活動内容や富山湾への思いについてお伺いしました。

 

 

 事務局の滝本さん

 

―まず、「富山湾を愛する会」を立ち上げたきっかけを教えてください。

 

富山湾は、漁業、港湾、観光と、いろいろな分野で地域の発展に大きく寄与しています。また、深層水の高度利用、海洋エネルギーの技術開発、海洋防災対策、水質環境の向上や海岸の美化など、課題がたくさんあります。そこで、「富山湾を知り、守り、活かし」たいという思いから、NPO法人を立ち上げることとなりました。

 

―「富山湾を愛する会」では、具体的にどのような活動をしているのですか?

 

主な活動としては、藻場づくりが挙げられます。その名のとおり、藻場とは海藻が生える場所です。
「里山」という言葉に対して「里海」という言葉がありますが、陸で言うところの森の役目を、海の中では藻場が果たします。

 

藻場は海中の「森」

 

たかが海藻、されど海藻。海藻は光合成をしますので、酸素を出し、海を浄化します。そして、藻場は海中のプランクトンや小魚の住みかとなるため、それらをエサとする魚も増えていきます。
海の環境を整え、多くの生物を育み、海中の自然を循環させる役目を果たすのが藻場なのです。

その藻場を整備し、豊かな「里海」をつくるために、アマモという海藻(正しくは海草)の苗を育て、海に移植する事業を行っています。
氷見高校の実験室をお借りして、会員が集まってアマモの苗づくりに挑戦したり、会の活動を知ってもらおうと、射水市の東明小学校と氷見市の灘浦小学校の子どもたちに、学校の水槽で苗を育ててもらったりしています。
育ったアマモの苗は、5月頃に水中カメラマンたちが射水市の海老江と氷見市の小境の海に潜って、移植しています。

 

 

高校の実験室でアマモの苗づくり

 

 

育てたアマモの苗を海に移植

 

 

―子どもたちにも「里海」を守る大切さを知ってもらう、いい機会となっているのですね。アマモを移植する上で、何か苦労していることや工夫していることなどはありますか?

 

実は、最初のうちはなかなか根が張らず、苦労していた部分がありました。そこで、牡蠣の殻を利用して海の底に根を張りやすい環境を作り、苗を植え付けたところ、それがとてもうまくいきました。

2016年12月に、海老江に大きな寄り回り波(※富山湾に侵入して災害を引き起こす、うねり性の高波)が来たときは、正直「もうだめかな」と諦めていたのですが、実際に海に潜って見てみると、アマモは根が浮き上がっているものの、なんとか生き延びていて、しばらくするとすっかり元通りに戻りました。そのときは、とてもうれしかったですね。

 

―アマモがしっかりと富山湾の底に根を張って、力強く育っている証拠ですね。アマモの移植のほかには、どのような活動をしているのですか?

 

アマモに限らず、アカモクやマクサなどの海藻も移植していますし、植物プランクトンである珪藻の観察・調査のほか、活動内容を広く知ってもらうため、公開セミナーの開催やパネル展示会などもしています。

また、構成団体として参画している「射水市豊かな海を愛する会」とタイアップし、子どもたちに海藻に興味を持ってもらい、里海の大切さを知ってもらうために、小学校で海藻おしば教室を開催したりもしました。

 

海藻でおしば作り

 

海藻おしば教室でできあがった作品

 

 

子どもたちに「海をきれいにしよう」と教育することはとても大事なことだと考えていて、その子たちが大人になってからも、「里海」の自然環境を守ろうという意識をずっと持ち続けてくれれば、と思って活動しています。

 

―「里海」の大切さを広く知ってもらうことは、「里海」を守ることにつながるということですね。富山湾の豊かな「里海」を守るための、今後の目標などはありますか?

 

新湊地区には内川が流れています。この内川は海とつながっていますので、川を通して海の状況を見てみようと、内川の散策も行っています。こういった散策や清掃活動などの気軽に参加できる活動も行い、「海を愛する人」や「富山湾の魅力をもっと生かしたい」と、私たちの活動に賛同してくれる人を増やしていきたいです。
また、この会と似た活動をしている団体との連携も取れればいいと考えています。

 

内川から富山湾について考える

 

 

―最後に市民の皆さんへのメッセージをお願いします。

 

これから活動を続けていくためにも、ぜひ会員を増やしていきたいと思っています。
「富山湾を愛する会」の趣旨に賛同され、参加してみようと思われる方は、ぜひ事務局までご連絡ください。

 

全国豊かな海づくり大会が射水市で開催されたことは記憶に新しいですが、この富山湾の豊かな海の恵みは、豊かな「里海」に支えられていることを教えられました。
大人から子どもまで、富山湾を愛する人の輪がますます広がっていくように、これからも「里海」づくりの活動を続けていっていただきたいです。

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