生きづらさを抱えている人や心理学を学びたい人に、集団認知行動療法を行っているNPO法人「りばてぃーOne」。
代表の坂本さんに、団体の活動内容や活動に対する思いについてお伺いしました。
代表の坂本さん
―「りばてぃーOne」では、具体的にどのような活動をしているのですか?
主な活動として、「心と心がつながる場の提供」、「癒しの場の提供」、「学びの場の提供」を行っています。
「心と心がつながる場」では、アパートの一室を使って週3回開催している『うつのつどい』で、集団認知行動療法を行っています。うつ状態となっている方は予約することさえつらい状況にあるので、予約不要としています。一般的なカウンセリングだと予約が必要なところが多いので、「来られるときに来てくださいね」というやり方は、この「りばてぃーOne」の特徴でもあります。
また、うつの方のご家族や、お子さんの行動などで悩んでいるご家族を支援するための『家族のつどい』も月1回開催しています。同じ状況にある方と仲良くなり、「悩んでいるのは自分だけではない」と、気持ちが楽になったという方もいらっしゃいます。
「癒しの場」では、常駐のスタッフによる面談やカウンセリングのほか、居場所の提供も行っています。特に何かをしなければいけないということはないので、本を読んだり、自由に絵を描いたり、ぼーっとしたり、思い思いの時間を過ごしてもらっています。
また、電話やSNSでのカウンセリングも実施しています。
おもちゃやビー玉、砂などを使って表現する「箱庭」もある
「学びの場」では、心理学の勉強会などを行っています。アドラー心理学や笑いヨガなど、そのときの講師によって内容が変わるのですが、うつの方も、支援をしたい方も、どなたでも気軽に受講できます。この勉強会で心理学に興味を持った方が、大学院まで進学して心理学を学んだり、心理学に関する資格を取得したりということもあるくらいです。
りばてぃーOneのスタッフの皆さん
生きづらさを抱える人が、少しでも楽な気持ちで生きることができるよう、お手伝いをするというのがこのNPOの主な活動ですが、「他者貢献」にこそ人としての本当の幸せがあると思うので、「誰かの役に立ちたい!」という人も育てていきたいと考えています。
―この活動に、とてもやりがいを感じていらっしゃるのが伝わってきます。坂本さんは臨床心理士の資格もお持ちということですが、心理学の勉強を始めたきっかけや、団体を立ち上げた背景を教えていただけますか。
大阪の高校に進学し、寮生活の中で「人のために」という教えを受けました。その教えを科学的に実践したいと考え、心理学を学ぶことにしました。
心理学を学ぶ中で、いろいろな病院にも勤務してきました。そして、平成9年6月からの道文心理研究所の勉強会を通して、集団における心の学びの大切さを痛感し、うつ病を経験した人や、自殺念慮感のある人、うつ状態の人に対応したいと考え、平成24年7月にりばてぃーOneを設立しました。
NPO法人となったのは平成30年4月からですが、これはより組織的、継続的に活動を行うためです。
富山県は、自殺者が多いという調査結果が出ています。真面目な県民性が、自己否定や他者否定につながっているのかもしれません。私たちは、とにかく自殺者を減らしたいという思いで活動をしています。
―自殺者対策という社会的課題にも、真正面から向き合っていらっしゃるんですね。活動を行う中での、団体のアピールポイントなどはありますか?
人の役に立ちたいという心意気と、フットワークの軽さは自慢です。場合によっては、支援が必要な方のご自宅まで出向くこともあります。
ご家族からの相談を受けて、ずっと引きこもっている方のご自宅へ行ったとき、最初その方は一言も発せず、頭からかぶっている毛布の隙間から私を覗くだけでしたが、根気強く通いました。
通い続ける中で、そのお宅では猫を飼い始めたのですが、その方は徐々に猫のお世話を通して、エサを買いにいくことができるようになり、今ではお仕事もされています。
猫の力を借りた部分も大いにありますが、生きる目的を一緒に考えた結果でもあると思います。私は、「人を一人でも信じることができれば、人は変わることができる」と思っていますので、その方が変わるお手伝いをできたことはとてもうれしいです。
世の中には多くのカウンセラーがいますが、相手が来るのを待つだけではなく、アウトリーチ(訪問支援)までするカウンセラーはなかなかいないと思うので、それが一番のアピールポイントかもしれません。
あとは、愛犬のリバティも大事なアピールポイントです。先ほどの猫のエピソードもそうですが、アニマルセラピーがあるように、動物には本当にすごい癒しの力があると感じます。リバティは人見知りをしない人懐っこい犬なので、気が付いたら訪れた人のそばにそっと寄り添ってくれていたりします。中には、リバティに会うために来てくださっている方もいらっしゃるんですよ。
リバティをはじめとした動物の力も活用しながら、つらい思いをしている方を支援していけたらと思っています。
大事なスタッフでもあるリバティ
―今後の展望や目指していることなどはありますか?
今はSNSが普及しているので、「SNSを活用したカウンセリング」が今後の支援のカギになると思っています。
起こった「事実」は変えられませんが、人の考え方や捉え方は変えることができます。物事の捉え方を変えれば、「過去」を変えたことにもなります。
だから、生きてさえいれば何とかなるんです。SNSでも電話でもいいので、とにかく連絡してもらえればと思います。
自殺を考えたことがある方に対する相談事業などを通じて、自殺者の少ない、笑顔が似合う射水市を目指していきたいです。
―最後に市民の皆さんへのメッセージをお願いします。
「りばてぃーOne」には、心理学に関する資格を持ったスタッフが多くいます。このスタッフたちはそれぞれに「誰かの役に立ちたい!」という強い思いを持っています。
せっかくこれだけのスタッフが射水市に集まっているのですから、射水市がよりよい市になるよう、ぜひ協力したいと考えています。
悩んでいる方、つらい方は、いつでも気軽にご相談ください。
また、ブログで活動を紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。
http://toyama.areablog.jp/ribathi1
代表の坂本さんの、「心理学の知識や経験を活用して射水市に貢献したい」とお話しされているときの明るい笑顔が印象的でした。生きづらさを感じている人を少しでも減らし、前向きに生きていける環境をつくるため、今後も積極的に活動を続けていっていただきたいと思います。
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