NPO法人 いみず市民メディア



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限られたエリアで聞けるコミュニティ放送局が富山県内には5つあります。そのうちの1つが射水市内全域で聴ける「エフエムいみず」です。放送局を運営しているのは株式会社ですが、NPO団体「いみず市民メディア」が、ラジオ番組やテレビ番組、インターネット動画の企画・制作を行っています。株式会社があるのになぜNPOも立ち上げたのか、設立の経緯や活動内容を、代表・柴田茂樹(しばたしげき)さんにお伺いしました。

 

 

—市内のショッピングセンター内に、ラジオ放送局があるとは知りませんでした。

 

建物の屋上に「エフエムいみず」の送信アンテナがあるので、射水市内全域に電波を届けるにはとてもいい立地なんです。射水市の中でも呉羽山寄りの場所にありますが、新湊地区までしっかり届きますよ。

 

 

—柴田さんは「株式会社エフエムいみず」の社長と「NPO法人いみず市民メディア」の理事長を兼任されていらっしゃいますが、なぜ両方の組織を立ち上げられたのですか?

 

先に作ったのは株式会社でした。テレビ業界やラジオ業界を経て、自分の放送局を持ちたいと思い、2007年に独立しました。元々ラジオが好きだったのもありますが、電気も水道も使えない災害時などに頼りになるラジオに、とても魅力を感じていました。株式会社は立ち上げましたが、その翌年に、災害などの発生時に、いちはやく状況や被害情報を伝えることができるよう、必要に応じてすぐにネットワークが構築できるよう「射水市災害放送ボランティアの会」を結成しました。当初は任意団体でしたが、支援の受けやすさも考慮して、翌年からNPO団体への準備を始めました。実は認証を受けたのが東日本大震災が起きた二週間後だったので、何か運命的なものを感じました。

—テレビやインターネットの普及率が上がっている中にあっても、ラジオの存在は大切ですよね。では、災害時の放送が必要な時には、ボランティアが集結するのでしょうか?

 

緊急時への備えはもちろんですが、今は平常時の番組も制作しています。ラジオは防災番組を中心に環境保全や健康に関する番組を制作していて、中には赤い羽根共同募金などの助成を受けていたものもあります。ラジオだけでなく、ケーブルテレビやインターネットの番組も企画制作しています。北陸新幹線が開業する前などは1年通して富山のおすすめグルメを紹介する特別番組を制作したこともありましたね。

司会者は、地元で活躍されている人にお願いすることが多く、その方たちもお話しがすごく上手なわけではありませんが、それが新鮮で面白いんですよね。一般市民と同じ目線で取材したり、コメントしたりするから、視聴者も共感するんだと思います。

 

 

撮影から編集までの技術とノウハウがある柴田さん

 

 

—実際災害時の臨時放送を行った経験はありますか?

 

富山県は幸いにも、今までに大きな災害がほぼなかったので、災害緊急放送の経験もありません。

しかし東日本大震災の時は、ラジオで物資支援を呼びかけ現地へ運んだり、被災された子供たちを富山に呼んで「夏休みホームステイ」を行ったりしました。物資は予想以上にたくさん集まり、ホームステイ先も快く協力してくださった方々がたくさんいらっしゃいました。放射能の影響で外に出られない子供たちも多かったと聞いていたので、外で思いっきり遊んでいる姿は見ていて微笑ましかったです。

また、震災の翌年には市内の吹奏楽団と一緒に岩手県陸前高田市を訪れ、現地の吹奏楽団とコラボ演奏もしました。両市の音楽家が共同で作曲した復興イメージソング「TAKATA MIRAI」も披露しました。当日は近くの仮設住宅に住む方々をはじめ、120人以上の観客が来てくださいました。

 

 

—災害に関する情報発信だけでなく、被災者への支援も手厚く行われているんですね。

 

しかし全てが順風満帆なわけではありません。「夏休みホームステイ」を行った時は、原発の問題が様々なメディアで取り上げられていたこともあり、“賛成派、反対派どちらなんだ”と問いただされることもありました。ただただ富山に来てほしいという思いから生まれた事業でしたが、様々な捉え方をされてしまい、事業を実施するのが難しいと感じた時期もありましたね。

 

 

—番組制作以外にも何か活動を行っていますか?

 

やはり番組制作が大きな割合を占めます。それ以外には、全国から参加者が集まるようなイベントの記録撮影や、自分たちでイベント自体の企画からやることもあります。富山県立大学のゼミ生らが番組企画から編集まで行ったり、カメラマンを育成したりとノウハウを指導する機会もあります。単発の事業ばかりではなく、継続的に安定して番組制作を行っていけるような活動にしていきたいです。

 

 

スタジオ内は手づくりの部分もたくさん。壁一面に貼られているのは、音を反響させるためのシート

 

 

—現在は新しい番組制作にまで手が回らないということですか?

 

それもありますが、市や県からの補助金も十分にあるわけではないので、新しい事業を立ち上げるのが難しいんです。続けようか悩む時もありますよ…。それでも、小さな情報も逃さずに市民の皆さんへ届けたいと思っているので、続けていられるのかなと思います。

 

 

—市民への思いが原動力になってるんですね。市民が何かお手伝いできることなどはありますか?

 

番組制作やカメラ、編集に興味がある方はぜひ一緒に番組を作ってほしいです。また番組に出演したい方も募集しています。特技がなくても、話が上手じゃなくてもいいんです。一緒に「エフエムいみず」を盛り上げましょう!

 


 

「エフエムいみず」でご自身が出演する番組もお持ちの柴田さん。流れるような話のテンポに思わずため息が出るほどでした。市民の皆さんと一緒に番組を作っていきたいと考えていらっしゃるので、小さな相談も気軽に乗ってくださいます。伝えたいこと、話したいことがある時、携帯やスマホに向かうのもいいけれど、「エフエムいみず」でマイクの前に座ってみませんか?

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